お寺で写経

五反田の薬師寺東京別院でお写経をさせていただきました。

作法に則って写経するのは初めて。ドキドキ。
受付で申込み、まずお抹茶の接待を受ける。
お菓子が口の中でほろほろととけていく。
そして、お茶をひとくち。
うーん、おいしい。
お茶碗は薬師寺のオリジナル。

本堂の入り口で、輪袈裟をかけ、用紙をいただいてから、丁字を口に含んで二三回深呼吸する。
体の中を清めるためだそうだ。丁字は出しても食べても良い。
私は欲深なので、写経中ずっと口に含み、後でバリバリとかんでゴクン。

入室すると赤い毛氈が敷いてあり、その上の象の背中から煙が出ている。
体を清めるため、この煙の上をまたいで席へ。
椅子の席は自由でそれぞれお手本と用具、手引きが準備されている。
係の方から、水滴からはたくさん水が出てしまうので、空気穴を押さえて少しずつ垂らすようにと教えていただいたにもかかわらず、だばばっと出してしまう。はじめっから不器用だ。
墨をゆっくり擦る。
硯も黒いので、濃さがわからない。
これでもかと延々擦って、摩の字の点をおそるおそる書いてみた。
よし、ばっちり!と先へ進むが、
今度は筆に墨を含ませる加減がわからない。
かすれたりぼってりとしたり、細かい字は真っ黒になって何の字だか判読できなかったり、まったくもって不安定な書ができた。
これが、今の私のこころ姿なんだなあ。


無事に願意も書き終え、薬師如来様に見ていただけるように箱に収める。
今後は奈良の薬師寺の納経堂に保管されるとの事だ。
未来の人が見たら、どんな姿を想像してくださるのだろうか。
悪戦苦闘している姿を笑ってくれるか。

少々肩もこったけれど、すがすがしい気持ちでお寺を後にした。