新しい世界を垣間見た。

1/24 歌舞伎座さよなら公演 昼の部。

・祝初春式三番叟
・平家女護島 俊寛
・花街模様薊色縫 十六夜清心
・鷺娘

午前11時から夕方4時まで、休憩を挟みながらびっちり楽しみました。

開演2分前に歌舞伎座到着、一階席を見渡すも義母もおばも見あたらない。
どこ!?

思いもかけないあたりで手を振る女性・・・いた!
でも花道を越えられない。
どどどどうすれば・・・?

一回ロビーに出て、脇に回る。そこにあったのは専用扉。

 まじ?

入るとコートかけと靴箱。

カーテンを開けると、客席が広がり、目の前に花道。
座るか座らないかウチに幕が上がった。
イヤホンガイドとオペラグラスは義母が用意してくれていた。


それからは舞台に釘付け。

まずは三番叟、めでたい舞。
なんにも知らない私はただ感心して見ているばかりだったが、
その舞の様式美のようなものを感じた。
古くからある伝統美とでもいうのか。
ぴっと張った背や足運びや指先まで行き届いている、一朝一夕では身につかない気。

俊寛は物語だからセリフがうまく聞き取れなくても解説で教えてくれるし、さらにわかりやすかった。
仕草の一つ一つで人物の感情がよく伝わってきて、物語に引き込まれた。
実際に泣いているわけでもないし、化粧をしているから細かい表情を見せるわけでもなく、
でも俊寛が最後に舟を追おうとする処は一人取り残されてしまう寂しさ悲しさがあふれていて、見ながら思わず力が入ってしまった。
回り舞台や花道の演出もはっきり見られ、また、悪役の、いい役?の化粧の特徴も違いがわかって興味深かった。

十六夜清心はぐっと親しみやすくて、笑えるところもたくさんあって肩肘張らずに見られた。
ビールをちびちびやりながら、浄瑠璃を聴き、大向こうの声を聞き。
声がかかるのはどんな時なんだろうと頭の隅でおもいつつ。
可笑しくて笑ってしまうところ、男女の色事の話でも、やはり伝統あるもの下品な感じはせず安心して楽しめた。
寺小姓求女が色っぽかった。
清心が一人殺すも千人殺すもと悪の道に入ると決めたときの見得と大向こうの声がビシッと決まって格好良くすかっとした。

最後は鷺娘、綺麗キレイきれい。
透明で幻想的で華やかで色気があってせつなくて狂おしく。
衣装がどんどん早変わりするから、派手だし、見せ場満載。
舞が本当に鷺を思わせて、見とれてしまった。
ただ綺麗なだけでなくて、作り込まれた体のしなやかさ。(見ながらイナバウアーが浮かんだ。)
後見がさっさっと糸(たぶん)を引き抜いて、一瞬で衣装とともに世界が変わる。
ああ、感嘆。

初心者にはとても目出度く基本のたくさん詰まった楽しめるものだった。


終わってからおしゃべりしていると、やはりおばさまや義母は通好みで、鷺娘は派手だけれど、踊りは足がいのちというのよ、ともっとわびさびのあるものがお好みのようだった。
夫と私といえば、「何で俊寛が女をかばって舟から飛び出してくるのに、夫の少将は出てこないんだ」とか、「鷺娘で後見が引き抜く最後にびりびりっていったのは、演出なのか本当に破けたのか」とか、「かけ声も高麗屋ァ〜っていうのと音羽屋ッ!!ていうのと調子がちがうねえ」とか変なところばっかりあげつらっていた。


お客様には、着物の女性が大勢いて、私も一度は!と意気込む。
建物の中を歩いてみると、吉兆のような高級感ある処もあれば、三階では鯛焼きを売っていたり、

年代物のアイスクリームケースがあったり、二階には片岡球子伊東深水のえが飾ってあったり、甘味処で一服できるし、

ビールにおつまみは売っているし、客席でお弁当は食べられるし(普通ホール内は飲食禁止)、いろんな人がそれぞれの楽しみ方が出来るようになっていると思う。
ただ、休憩時間が少ないから走り回って見たので、写真はぶれぶればかりで、次回は一眼レフを持って行こう、開場と同時に中に入ろう、お土産も見て歩こうと今から画策している。


終演後、外に出るのに大混雑。
建物前では、夜の部の入場の方がぎっしり。
歌舞伎って、人気あるんだなあ。